ドライブマイカーのネタバレ感想をお話しします。
正直、私の心には響かなかったです。つまらない、良さが分からないといった声が上がっているのも、なんとなく分かる気がします。
受賞しているから良い作品だ!という意見もわかりますが、響かないもんは響かないし、映画って受賞の有無で判断するものではないですよね。
でも素敵だな〜って思うシーンもあったので、私が感じたままの感想をここにシェアしていきたいと思います。
ドライブマイカーの概要・あらすじ
- 監督:濱口竜介
- 製作年:2021年
- キャスト:西島秀俊、三浦透子、霧島れいか、岡田将生 ほか
村上春樹の短編「ドライブ・マイ・カー」を映画化したもの。
2021年 第74回カンヌ国際映画祭の脚本賞を受賞。2022年 第94回アカデミー賞では国際長編映画賞を受賞。さらに日本アカデミー賞でも最優秀作品賞を含む8冠に輝いた作品です。
どんだけ受賞するん。エグい〜!(すごいですね)
ドライブマイカーのネタバレ感想
映画を批判したいわけではなく、あくまで私個人の素直な感想です。
私が感じた「この映画が伝えたいこと」
2度観て、なるべく自分の思考や感覚を俯瞰して確認してみました。
まず1度目に観賞後の感想は「うーーーん、、、ん?」でした。
なんか、ザ!カンヌとかフランスから評価を得そうな内容って感じ。
受賞したから結果論として “カンヌで選ばれそう”って言っているわけではなくて、人間の心情とか家族の関わり合いとか、静かな雰囲気の映画ってカンヌで受賞されがちじゃないですか。ドライブマイカーもそんな感じだな〜って。
アクションやコメディー、ラブストーリーとかわかりやすい話、わちゃわちゃした作品ってまずカンヌで受賞されないから。
この映画が伝えたいメッセージの正確なものはわかりませんが、私が感じたのは「辛いことがあってもそれでも乗り越えて行かなくちゃ前を進んでいかなくちゃいけないんだ」ってことを言いたいのかなと捉えました。
そのメッセージだと仮定して進めますと、正直微妙と思わざるを得ませんでした、私の場合はね。
別に大きな展開とかアクションのような迫力ある映像を期待したわけではありませんけど、辛い過去を乗り越える過程を映し出す映画ってたくさんあるじゃないですか。
だから、私の中で、よくある話・・・の域を出ないっていうか。
家福は最愛の妻に浮気され、その後失い、みさきは母親との確執があり、災害で失い、二人の境遇は、内容は違えど重なるものがあった。
家福の子供が生きていたら、みさきと同じ23歳の歳。彼らにはそういった共通点があって、まるで出会うべくして出会ったって感じ。
そんな二人がドライブを通して徐々に互いの心を明かし、最後は「前を向いて生きていこうな」って感じでフィナーレ。
多分だけど、メッセージ性よりもその過程の映し方や演出の仕方の方が評価されている感じなんでしょうか?小説とのつながりとか。だとしたらそれって小説読まないとわかんない箇所だったりしない?とも思って。
映像だけだとやっぱり “何を伝えたいのか” ってところを探しちゃうんですよね、私。
その伝えたい内容に共感するか否かで評価って変わってくると思うんです。
だから、やっぱりあまりよくある話なのかなって思って、それ以上でもそれ以下でもない感想でした。
辛いことあっても前向いて生きていかなくちゃ、なのはわかるけど・・・
先ほどと重なりますが、二人がみさきの実家に訪れてさ。二人の思いをさらに打ち明け、抱き合い前へ向いていくといったような感じで終りましたけど、それでめでたしめでたしってのはよくある光景というか。
例えば私はマンチェスターバイザシーみたいな内容が結構好きで、あれも何か受賞したんですけど、辛いことを乗り越えでなくてもいいんだよってメッセージ性を感じて、私はすごくいいなーって思ったんですよね。
何でもかんでも乗り越えたり向き合って前進むことが美化されがちですが、それができないから辛いわけで、乗り越えられない人もいるし。そんな人たちの側に立った映画って感じがして好印象で。
前を向いて生きていかないとって締めくくりがあまり共感できず「そうだよね・・」とは思えなかったんです。きれいすぎる。
自分は幸せになっちゃいけない、楽しんじゃいけない?を感じさせる演技よかった
みさきの演技はすごい良かったです。個人的には、あぁいう演技すごい好きなんです。キャラ的にも。
必要最低限の事しか言わず、そこまで無礼じゃないクールさ。ああいう人に限って心はちゃんと温かかったりするんですよね。偽善ぶらないし。
彼女の演技を見ていて、運転中、彼女はまるで自分が幸せになってはいけないと自分で鎖をつけているように私は感じました(最終的には自分が母親にしてしまったことを悔いているとわかりましたけど)。
故に「え、彼女の過去に一体何があったのさ」と、真相が明かされることへの期待感につながりました。
そういった意味もあり、彼女への演技には惹かれるものがありました。
ちょっと色気もありますしたしね。
村上春樹さんの作品を知ってたらまた違ったのだろうか
私は村上春樹さんの作品を読んだことがありません。なので彼の作品を否定するも肯定する気もないです。
これは村上春樹さんの〇〇の短編が基になって〜とかそういうのも知らず前提としての知識ゼロで観始めました。
小説を読んでいたら、あるいは村上春樹さんファンであったなら感想や評価が違ったのかもしれません。家福の演劇にも村上春樹さんの小説の要素が入っていたみたいだし。
映画のレビューサイトや考察サイトではやっぱり短編の話を引き合いに出していました。
でも映画自体の感想は短編とか関係ない気がするし・・・短編とセットで評価されるなんてこともないですよね(いや、あるのか?それも含めての評価なのか?)
逆に小説を読んでからだと小説と映画との違いが気になって映画の世界観に浸れないって場合もありそうですけど、どうなんでしょう。
違いを気にしたってしょうがないとは思いますが・・でもね、楽しみ方って人それぞれだから、違いに気付くのもまた楽しいのかも。(どっちなんだい)
村上春樹さんの小説を基にした作品って、どれもこういう静寂な感じでセリフを淡々と言うってのが多いんですか?
ドライブマイカーの鑑賞2度目、車内での高槻と家福の会話が繰り広げられるじゃないですか。ほとんど高槻の一人語りって感じでしたけど。
あの雰囲気はちょっと好きだったんですよね。内容じゃなくて雰囲気ね。(俳優さんの演技がそう感じさせたのか・・)
あの雰囲気って、これぞ村上ワールドなの?それとも監督の撮り方?
セリフはいかにも小説の文章を読んでいる感じで、(実際、高槻は物語の一部を読んでいるからそうなるのは当然なんでしょうが)すごく見入ってしまいました。
ドライブマイカーは、確実に1度目は「つまらない」というのが私の素直な感想でした。
でも2度目鑑賞時、その高槻とのシーンで「この独特の雰囲気そこまで嫌いじゃないかも」と思うようになったんです。むしろ素敵なシーンと感じた。
なんなんですか?村上ワールドはスルメイカみたく噛めば噛むほど味が出てくる内容なんですか?(褒めてます。すみません謎の上から目線)
って感じで、まとまりないですが、こんな感じの感想で、終わります。
好きかも・・素敵かも・・なシーンはあったけど、映画全体としては私はつまらなかった。それだけ。
余談。賞は一部の人の評価に過ぎない
ちょっと話がズレます。
アカデミー賞受賞とかカンヌ国際映画祭で受賞とかってなると、それだけで「これはプロから評価されている作品なんだ」って、箔が付くわけですよね。
受賞ってすごいパワーワードで、一種のバイアス?かかってさ、受賞されたんだから、(例え自分がこの映画が良いと思っても思わなくても)これは良い作品に違いないって思い込んじゃう節ありません?
当然、映画の評論家だったり映画界のプロが判断しているのでしょうから、良作だと思います。評価に値する映画なんだと思います。
でも、ですよ。当然ですが、評価されたからといって全人類に響く作品ってわけじゃないじゃないですよね。
だから素晴らしい作品と思えないからといって「つまらない」と言った人が責められることでもないわけで。
中には良作なんだろうけどまるで面白くない・・こんな私は理解力が乏しいのだろうか?と自分に非を感じる人も出てくるわけで(私の考えすぎですか?)
「受賞したから良い作品」って、こちらが言い返しにくいような盾を持って言う人もいるのよ!笑 (私そういうの突っ込みたくなっちゃう)
って感じで、私はあまり重きを置いてなくて。
もちろん受賞している作品観ますし面白いと感じるものもありましたけど、受賞の有無は関係ない。
アカデミー賞やカンヌ国際映画祭だって審査する側は人間です。私たちと同じ人間です。判断基準が設けられてても、それを設けたのも一部の人間です。
ということは、限られた人数の基準で評価されたに過ぎない。
それを踏まえるの、結構大事と思いませんか?一部の評価で、あくまで参考程度。
なーんてこと考えています。
それと、なんかさ、さらに話ズレるかもだけど、受賞した映画に対して「つまらない」と言うと、「あんな映画の良さがわからないなんて」ってマウント取ったりしてくる人もいるじゃん。
あれがすごく嫌なんですよね。こっちも言い返しにくいじゃん!だってアカデミー賞という映画界で評価された作品なんだもん。
そういうさ、「理解できない私の頭が悪いのか?」とこちらに非があるような言い方する映画マウント、本当にやめてほしい。頼む、やめてくれたまえ!w
正直かなりショックですよ!(私は頭悪いの認めるますが!w)
映画って観た人の数だけ評価が別れるもの・・でしょう??
どんな映画にせよ、観た人の数だけ良し悪しがあって、それぞれが良い!と思ったらそれが正解で評価になる・・そういうものでしょう???
だって映画って頭だけでなく、感性でも観るもの・・・でしょう???
ああ・・・壮大に話がずれましたね・・。
まぁこんなこと思いながら映画ブログ続けているんですわ。
むしろこのことが言いたくでこのページ書いた気すら出てきたわ・・
最後に・・
ドライブマイカーが好きな人におすすめなのがマンチェスターバイザシーです。
私はこっちの作品のが好きです。
静かに淡々と物語は進みますが、内容が前向きすぎずすっごいリアルで良い。