映画「花戦さ」を観てきました。
結論から言うと、ツッコミや違和感はあります。ただ、後半は涙なしでは観られない感動作でかなりシリアス。思わず泣いてしまった。
主役の野村萬斎さんが出る歴史的な映画(陰陽師とかのぼうの城とか)は独特な感じがするし歴史作品にすごく合っていますよね。狂言の印象がそうさせているのかな?
それではネタバレ感想していきたいと思います。
映画「花戦さ」の概要・あらすじ
概要
監督 | 篠原哲雄 |
製作国 | 日本 |
製作年 | 2017年 |
原題 | 花戦さ |
上映時間 | 127分 |
ジャンル | 歴史、ドラマ |
キャスト | 野村萬斎、市川猿之助、中井貴一、佐々木蔵之介、佐藤浩市 ほか |
あらすじ
戦国時代の京都。花を生けることで世の平穏を祈る「池坊」と呼ばれる僧侶の中でも、専好(野村萬斎)は名手とうたわれていた。そのころ、織田信長(中井貴一)亡きあと天下を手中に収めた豊臣秀吉(市川猿之助)の圧政が人々を苦しめ、専好の友であった千利休(佐藤浩市)が自害に追い込まれる。専好は秀吉に対して、力ではなく花の美しさで戦おうと立ち上がる。
出典:https://www.cinematoday.jp/
大切な仲間を次々と殺められた池坊専好が、秀吉に対して「花の美しさ」で戦おうとする物語。
本来なら憎しみなどの復讐心でいっぱいになるところですが、そこで武力に頼らず「人の心を動かす」ことを選んだ池坊の姿が描かれています。
花戦さを観た私の感想
感動して劇場で3回くらい泣いた
まさかの感動ストーリーで「えっ」と幾度思ったことか。
だってポスターがすごくポップだしなんかコメディ感強いじゃないですか。
実際、中盤まではそんな感じで池坊専好のおちゃらけたキャラや顔芸が目立っていましたし。
「やっぱりCM通りにこういう感じか」と思っていたら千利休の切腹シーンあたりで雲行きが怪しくなり(どんどんシリアスな展開に)重々しい空気になったんですよね。
自害するシーンは辛いものがあります。
「そんなことして何になる」といくら他人が言っても決意した本人の胸中は誰もわかりゃしない。
「死」に対しての解釈だって人によって違いますからね。「恐れ」と考える人もいれば「表現」と考える人もいるし。
ただ、残された人にとっては辛いものがあります。
美しさで人の心は変わる?
花にも動物にも、この世には様々な生き物や物が存在し、その物には「その物ならではの味わいだったり良さ」というものがあります。
ある人から見たら悪い物に見えたとしても、別の人から見たら美しい物に見える。
人の見方は人それぞれってのはわかってはいるけれど、花戦さではこの”美しさ”に対して池坊が命がけで訴えるわけで。
斬新なアプローチと思ったと同時にそれで人の心が傾ければ嬉しい、でもそうならないのが普通だよな(悲しいことに)、と覚めた感情も少し抱きました。
それに武力には武力、力づくで相手を倒すのがこういった戦国映画では王道ですし、それに対してはしょうがないと思いつつも我々日本人は話し合いの精神が根底にあるはずなんだけどな〜とも思ったり。
本当に美しさで心が動けば、それはめちゃくちゃ理想なんですが。
大物俳優陣の独特な演技がすごいがキャラに違和感も
俳優陣が豪華で大御所?感ある方々だったのですが、人によってはキャラ設定に違和感を感じました。
萬斎さんは、池坊の ”ちょっと変わった感じの人” を見事に演じられてて、顔芸も特徴的でした。でもそのキャラが故に中盤まではコメディ作品なのかな?とも思いましたね。
佐藤浩市さんも千利休の心情をすごく繊細に表現されてて。でも正直千利休ってキャラじゃない気が・・とも思っちゃいました;なんていうんでしょう。もっと重い雰囲気の人の方が良かったかも。
大好きな俳優さんなんですけど・・まぁ演技でカバーしてくれたって感じでしょうか。
全体的に淡々としていた
笑あり、涙ありって感じでいろんな要素は入っていますが、物語的には淡々と進んでいき、ドラマチックな展開もひねりもあまり感じませんでした。
千利休が切腹する周辺の雰囲気はとても辛く切なく悲しく・・涙してしまいましたが。
印象的なのはそこくらいで他のシーンは「まぁ、こういう感じか」以上の感想があまり出てこなくて^^;
ただ個人的に野村萬斎さんが好きだし目の保養にはなりましたけど・・
歴史上の人物の表現
実在した池坊専好という存在は、どこまで忠実に再現しているのかわかりませんが(本当にああいうキャラなのかどうか)秀吉とか有名どこのキャラ設定は、どうなんでしょう。
歴史上の人物が映画やドラマに登場する時って個人的にはすごいキャラ設定が大事と思うんですよね。
いちおう、伝記や教科書?書物を参考に「こういう人」と設定して描かれたり、全く別のキャラに設定してたりしますけど、映像ってかなり強烈に記憶に残るから印象が植え付けられそう・・なんて。
あくまで映画、あるいは物語だということを念頭に鑑賞しないと人によっては「あの歴史上人物はこういう性格だ」と決めつけてしまう人もいそうですし。
本作では天下統一を成し遂げた秀吉の傲慢さがめちゃくちゃ表れてて、(信長が悪にされている作品もかなり多い)も、本当にそう人だったのか?とかそんなことも考えながら観ちゃいましたね。
あ、話が少しずれました。
まとめ
ということで感想は終わります。
感動したり胸が締め付けられるシーンはあるけど、全体的には淡々と物語は進み、観賞後は「うーん、まぁこんな感じか」以上のものは私には芽生えませんでした。
ジャンル的には感動する要素が強い作品なので泣きたい人には・・良いかも?