ハッチング孵化を鑑賞しました〜
いや〜北欧ホラーって攻めててすっごい面白いですね〜
ハッチング孵化のあらすじ
- 監督:ハンナ・ベルイホルム
- 製作年:2022年
- キャスト:シーリ・ソラリンナ、ソフィア・ヘイッキラ、ヤニ・ヴォラネン ほか
ハッチング孵化のネタバレ感想
最初に言っちゃうと、何よりも母親怖い。
卵と、”それ” の正体
あれって、抑圧されたティンヤの本当の感情のかたまりを意味してますよね。
私はそう捉えています。
卵が大きくなる段階で、ティンヤは落ち込んだ時や悲しい時にいつも卵を触っていたり、卵を抱えながら涙していました。
ティンヤの満たされない感情や我慢していた感情が卵の餌になっていたように思います。だってティンヤのこぼした涙を卵の殻は吸収していましたしね。
抑圧された苦しい感情が大きくなるにつれ、卵も大きくなっていたように思います。
ただちょっと笑ってしまったのが、卵から孵化したアッリ(ティンヤが命名)の姿ですよ。
最初見た時はあまりにも滑稽で、作り物感?コミカルな感じがすごくて、独特な世界観とのギャップに笑ってしまいました。
それが狙いなのかもしれないけど、個人的にはもっとおぞましくてグロい容姿でも良かったなぁと。
余談ですが、この映画は食事中には観ない方がよいですね。ティンヤの嘔吐物をアッリが食べたりするシーンあるので。
私、この映画を見ているとき鶏肉のミートボールを食べていたんですよ!笑
嘔吐物系ミルの、グロい映像見るよりも私は苦手で;まさかそういうシーンがあるとは知らず。
ちょいと話がズレましたが、まぁそんな感じにティンヤの抑圧された感情=つまり本物のティンヤの気持ちを結晶化した、可視化したのがアッリ。
孵化したアッリが近所の家の犬を殺したのも、ティンヤが以前に噛みつかれて嫌悪感を抱いていたから、かなと。
テロの家の赤ちゃんを襲ったのも、母親が愛情を注いでいる姿を見て、母親の注目が赤ちゃんにいっちゃうと思ったら赤ちゃん邪魔になりますよね。なので恨むようになってしまったから。
でも、大会中に自分が落下することにより、アッリの暴走を止めてなんとか赤ちゃんは無事だった。
ティンヤとアッリは一心同体って感じなんでしょうね。アッリがぶたれると自分も痛い、自分をぶつとアッリも痛がる、みたいな描写ありましたし。
そんで、ライバルの体操選手を襲ったのも、母親を喜ばせるために、体操大会で優勝するために、ライバルの後存在を消したいと思ったからです。
アッリはティンヤの欲望を忠実に行動に移してくれる(移してしまう)
母親が買ってくれたキラキラの体操スーツも、アッリは切り刻んで破りましたよね。あれも、ティンヤが本当は体操なんか楽しくなくてやめてしまいたい、大会は出たくないって言う気持ちの表れですよね。
それをアッリが切り刻む事で表現してたっていう。
一番怖い、母親
この映画の何が一番怖いかって、母親ですよね・・
もはや、毒親。
最初は卵から孵化したアッリの気持ち悪さやヤバイ行動が怖いのかなって思いましたが、それよりも母親だわって私は思いました。
母親の異常な考え方と行動。
てか、ティンヤがあのような娘になったのも、そもそもの原因は全てあの母親にあると思います。
ティンヤが母親のことを思って、母親に愛されたいがために、すべての気持ちを我慢して抑圧された家庭環境の中育ってそれでもママのことを愛して。
でも苦しくて、それがアッリと存在を生み出してしまった。
物語の冒頭、”幸せな家族”を動画に撮っていて、その時点から母親のヤバさは出ていましたよね。キラキラな母親像。
だけど、突如室内に入ってきたカラスを、母親が躊躇なく首をへし折り、笑顔で生ごみに捨ててきてねと言って、裏はとんでもね〜感情の持ち主とすぐにわかりましたよね。
あんなキラキラな母親設定だったら普通は「あら、かわいそうに」とでも言いそうなのに、躊躇なく首をおったから、彼女が撮影しているのは偽物の家族というのがわかります。
そして娘の体操の大会への強い執念。
あれは母親の願望を娘に押し付けてただけ。母親が昔の自分であろう写真を見ているシーンから、自分が成し遂げられなかったその思いを娘にして欲しかったって言う思いがあったんでしょうね。
母親の太ももに深そうな傷跡が残っていましたし。
そして全てを幸せそうな家庭像にこだわった。
部屋の内装だって洋服だって見た目だって全てが幸せそうで裕福そうなもの。娘も息子も良い服を着ている。
特にティンヤへの入れ込みがすごかった。
息子に関しては愛情が乏しかった。息子から抱きつかれても早く離れてみたいなこと言ってたし。しかも息子にはプレゼントとかあげないし。
息子は成長期。あれは間違いなく捻くれる路線へまっしぐら。
実際、息子が子守唄をせがんでいるシーンあったけど、息子ちょっとキモかったしね・・・あれは将来がやばそう。
父親もおかしくて、もはや思考停止。母親の浮気もわかっているし、おかしさもわかって、何も考えない。
母親の家族ごっこに付き合ってて、不自然さも気づいているけど無視している。この生活を守るためにって感じでしょうか。
テロの家から帰ってきたときの血まみれの下端生の顔を見ても何も問いたださなかったし、本当に思考停止。
そんな感じで、母親は家族がどういう状況でどんな感情なのかはどうでも良くて、もはやは幸せな家庭像に必要な小道具でしかなかったんですよね。
そう考えると、心から愛していないのだろうなって(のちに最後の母親の表情がそう物語ってて)
そしてテロの家よ!
テロの家、絶賛内装中だったけど、赤ちゃんの部屋はめちゃめちゃきれいで部屋の1部はすごくカラフル。
なんか、もはやテロの家でも理想の幸せな家庭像を作ろうとしてたんじゃなかろうか。見事失敗には終わったけど。結果として。
そして、テロの自宅の帰り道、「ティンヤだけは私を幸せにしてくれると思ったのに」と自分の頭をハンドルに叩きつけて血まみれになってましたよね。もうかなり異常さが露呈されてましたよね。
母親やば〜・・・ですよね〜
そして最後、アッリを倒す時に間違ってティンヤを刺してしまった。だけどその後、アッリがティンヤそのものの容姿に変化します。
それを見た母親のあの表情。あの表情が全てを物語っていますよね。
ティンヤの死の悲しみは完全に消えているあの表情です。
アッリをティンヤのようにして育て、また世間が羨む幸せな家族の動画を撮り続けるんでしょうね。
母親が家族を心から愛していない、小道具にしか思っていないのですよね。すべては周りから「なんて幸せそうな家族なの!」って思われたいがために。
ほんとにこの映画は母親の恐ろしさが描かれていて、まさに毒親映画だなって思いました。
でも、ちょっと思ったんですが、アッリをティンヤのように育てていくにしても、ティンヤの抑圧された感情の結晶みたいなものだから、これまでのように素直で従順なティンヤのようには育てられないんじゃない?
なーんてちょっと思うんですけどね。
こ〜んな感じで、ハッチングは母親の怖さを描いた映画でした〜
面白い。北欧ホラーって本当に不気味さ攻め込んでいるので、毎回心揺るがせてくれますね。
ハッチング孵化が面白いと思う人
下記に当てはまる人はおそらく「ハッチング孵化」気にいるかも?