映画「めがね」のネタバレ感想です。
好きか嫌いかで聞かれたら、ちょっと好きかな?な映画でした。
映画「めがね」について
- 監督:荻上直子
- 製作年:2007年
- キャスト:小林聡美、もたいまさこ、光石研、市川実日子、加瀬亮 ほか
映画「めがね」のネタバレ感想
率直な感想は、うーん、黄昏るっていうかボーッとする、何もしないをすることを大切としたい or 重要と考えている人には刺さるかなって感じ。
私としては、黄昏る感覚って現代人に必要では?と思うので、しみじみとして良かった。
何ていうか「面白い!!」っていうテンションじゃないんですよね。
「ああ〜タエコの気持ちちょっとわかるかも〜あ〜このおばさん現実世界にいなそうな人だけど、ハマダに集まる人の関わり合いって、なーんか心地よいかも〜」みたいな。
程よく共感できるのが良いなと。
全体的に共感じゃなくて、ところどころ、良いわ。そんな感じです。
そんでもって、派手さはまるでない。セリフのないシーンも多いしね。
ワクワクする展開もなければドキドキハラハラする展開もない。修羅場も何か大きなハプニング、どんでん返しとか、いわゆる映画ならではのおもしろ展開もない。
かなり地味ーーーーーです。
それでも「あ、そうそう、この感覚良いよね」って思うことこそ気持ち良いんですよね。
宿「ハマダ」
こんな宿この世に存在しないでしょう?と言わんばかりの風変わりの宿、ハマダ。
お客さんがたくさんきて欲しくないから看板は小さめ、さらに場所も分かりずらい。
タエコをおもてなしする雰囲気はゼロ。
だからと言ってむげに扱うわけではなく、お好きにどうぞ感。
ちょっと笑ってしまったのが、スーツケースを放置したシーン。
普通の感覚だったらあり得ない接客姿勢。
これが旅館などで行われてしまったらクレームもんですよね笑
宿とは・・な常識がことごとく崩されるシーンの連続なんで、見る側としてはここで好き嫌いが分かれていきそうです。
しかも起きたらサクラが枕元に座っているのも、不気味すぎるしね。ホラーですよw 勝手に部屋入ってる!w ってなるから普通。
遊べるような場所もイベントもなし。
ただそこに宿があって、それぞれが好きなことをしつつ黄昏ている。それだけ。
別に大したことしてないんだけど、みんながたそがれていることが、リアルな世界に身を置くものとしては異世界に映るのですよね。
しかもこのハマダ、たそがれる素質のある人たちだけがたどり着ける宿らしく、青年ヨモギもハルナも辿り着けた人たち。なんかちょっと神秘的ですよね・・笑
マリンパレスへの嫌悪感
めがねってなんか宗教染みている・・とか言われているらしいです。
言われてみれば、みんな雰囲気ニコニコしてて落ち着いているし、毎朝変なダンスしているし。
はたから見たら「え・・・?」な人たちの集まりですから、そら抵抗感はありますよね。各々が好きでやっていることで拘束力なんぞは皆無だろうけど。
なんかニコニコしているのって全然悪いことじゃないんだけど、勘繰ってしまう荒んだ私の心が憎い・・笑
てゆーかね、個人的にはハマダの人たちよりも、マリンパレスの方がよっぽど宗教感ありました。
ルールが決められてて、○時に集合して何かやります〜みたいなのがあって。
さらに大地が〜太陽が〜宇宙が〜って満面のスマイルで説かれてなんか思想を植え付けられそうですし・・
タエコも「なんかやばそう」と思ってすぐ離れたじゃないですか。あれは賢明な判断。
で、結局ハマダに戻ってくる。
そういえば「マリンパレスに行く」って言って、本当に行くの・・?あそこに・・・?なオーラ出てましたもんね、ユージさん。
タエコがマリンパレスに合わなそうなの気づいてたんでしょうね。
と同時に、タエコさんがハマダに合っているということにも気づいてた。タエコがたそがれることにも。まぁ、ハマダにたどり着けた素質の人ですしね・・。
“何かをするのが、普通”という価値観のなかで
タエコが、せっかく携帯電波の届かない島に訪れたのに、遊べるイベントが何一つなく唖然としてたの共感しました。
旅って、旅イコール遊ぶものって感じしますしね。観光だって、遊びだろうし。
だからこそ何も遊べるところがない、となると旅に来た意味がないってなるのは当然で。
で、タエコは最初は編み物をしていた。それが唯一 “何かをする” ことだったんでしょうね、タエコ的には。
私もね、以前に二泊三日で海の近くに旅したんですよ。
でも現地は理想とはちょっとかけ離れてて、海しかなくて(近くに観光でいるところあるかと思ったら、海しかなかったんです)
もっと調べて宿決めろよ〜って話なんですが、結局遊べるところがなくてホテルで仕事しちゃいましたからね。旅来てて仕事かよ!w って自分に突っ込みました。
何もすることがない=逆に苦痛になってしまったんです。
海を眺めたいくせに、眺めて、たそがれたいほどの気持ちはなかった。そもそも私にはたそがれるとか、そんな選択なかったわけです。
でも、何もすることがないことに苦痛を感じるってことはさ、どんだけ時間を有効活用したいんだよって感じ。生き急ぎすぎている。
時間が勿体無いって考えが、どんだけ骨の髄まで浸透しているんだろうなと。ちょっと自分にそう思ったんですよね。
私は今でこそ、ぼーっとしてたり、たそがれて脳みそ空っぽにすることって人間にとって大切と思うんですよ。余裕ってやつ?隙間があった方が、柔軟に動けて考えて、いいことづくしだと思うので。
だからたそがれるっての、私たちが思っている以上に大切と思うわけです。
だからこの映画観てて、「あ〜いいな〜」とちょくちょく共感したわけです。
逆に、何もしない時間がもったいないって思う人からしたら、ハマダの人たちはかなり非現実的で異世界で、共感できない映像の連続なんだろうなと思いました。
確かに、時間が有限ですしね。
どんなことに、どんな価値観に重きを置いているかでこの映画の評価ってガランっと変わってくるなと。
あ、そういえば、ハマダにやってくる人全員メガネかけていましたね。だから、メガネってタイトルなの?
と、こんな感じで感想終わります。
映画「めがね」が面白いと思う人
- 「かもめ食堂」みたいな映画が好きな人
- 「しあわせのパン」みたいな映画が好きな人
- 人生について考えるのが好きな人
この辺りですかね〜