アリアッバシ監督のマザーズを鑑賞しました。今回もまた、重く「うーん?」な内容でした。
なんかね〜はっきりしないってのが正直なところ。
映画「マザーズ」の概要・あらすじ
- 監督:アリ・アッバシ
- 製作年:2016年(日本での公開は2022年)
- キャスト:エレン・ドリト・ピーターセン、コスミナ・ストラタン、ピーター・クリストファーソン、ビョルン・アンドレセン ほか
映画「マザーズ」のネタバレ感想(考察)
アリアッバシ監督の作品でボーダーって映画があるんですが、めちゃめちゃ不気味なダークファンタジーなんですね。あれが少し面白かったので、その流れでマザーズにも興味を抱き鑑賞。
ボーダーの内容は割愛しますが、今作もアリアッバシ監督っぽさ炸裂。終始暗く独特な雰囲気に包まれた映像と内容でした〜。
まず夫婦について。
お金は持っているのに地方?の田舎で自給自足暮らし。そこには電気も通っておらず洗濯は手洗い。この現代社会において、洗濯手洗い!と変わっていますけど、お金持ちであるからこそ、そういった原点回帰的な考え持つ人はまぁ珍しくはない。
そこまで生活が不気味とは感じずも、奥さんであるルイスが何かある・・?な印象。
心に闇を抱えてそうな雰囲気。そこで何やら電気を怖がっている感じ。さらには謎の霊媒師(というかスピリチュアリスト?)に瞑想療法みたいなのをしてもらっていたし。
目に見えない”何か”を信じているといった感じでした。まぁそれも若干変わっていると思うつつも、そこまでおかしい描写ではありませんでした。
まぁ変わっているかな、の域を超えない夫婦と暮らし。
ただ、私が「あれ?」と思ったのは食事のシーン。夫婦の知り合い一家?が食事に来たときにその子供がエレナのお腹を叩いた描写です。
絶対これは伏線あるいはメッセージだ〜!と思ったし”お腹の中の子に何かよからぬ何かがいる”ってあの男の子が伝えているのだ!と思ったんですよ。(スピリチュアリストのレオが出ている時点で”目には見えない何か”が出てきそうとは思ったんです)
で、赤ちゃんが元凶っぽいな?と思い始めたわけ。
そしてエレナはだんだん生気が失われ痩せ細り、別人のようになっていく。顔色も次第に悪くなり妻への態度もそっけなく悪くなっていく。まさに、何かに”取り憑かれている”と字の如く。
最初はルイスの方が不気味だったのにエレナの妊娠を機にエレナがおかしくなっていて何かがルイスからエレナに乗り移ったかのように見えましたね。そしてエレナは帰らぬ人に。
夫婦の元にベイビーは残されたけど、ここでゾッとしたのがルイスのセリフ。
エレナが子を残して亡くなってしまったのにルイスは「子供ができて幸せ」ってカスパーに言ったんです。
怖っ・・狂気・・。エレナについて悲しいとかそういうコメントないんかい?と思った私でした。と同時に、やっぱりルイスに何かあるな?と思ったわけです。
そうなると元凶はルイス・・エレナにルイスの卵子を入れたわけだしね。だから赤ちゃんもああなるっていう。
スピリチュアリストのレオが赤ちゃんと見つめあった時に2人の目の瞳孔が開いたシーンで、赤ちゃんの目が黒くなるし。ルイスの中にいた悪の何かが赤ちゃんに映っている感じ。
そして今度は夫の様子がヤバくなる。赤ちゃんに近づこうとせず不気味で強烈な音が聞こえるように。やがて赤ちゃんに殺意を覚える。(エレナと同じ感情になる)
そう考えると知人の子供がエレナのお腹を叩いたのも殺意の一種だったんじゃ?と思う。
最後はカスパーが赤ちゃんを車に乗せ妻ルイスはドアで殴りつける。カスパーの手が動かなくなることから、殺してしまったんだと推測。赤ちゃんは己の命を脅かす存在を抹殺する力があるのか?そう考えるとエレナもカスパーも亡くなったので辻褄が合う。
そしてクライマックス、ルイスの背後に黒い服を着た男性が立っていたんだけど、あれって妊婦エレナが集中治療室で”山の中で出会った人物”と同じっぽくない?ぼやけてたけど・・カスパーの亡霊じゃなさそうなんですよね。髪型似てたけど。
あれは何を表現してたんでしょうか。死神を表現していたのでしょうか。
でここで映画終了なので・・「どういうことーーー!!なーんとなく、なーんとなくわかった気にはなっているけど明確な答え知りたいーー!!」と思った私でした。
ボーダーの時は答えがわかる終わり方だったからなぁ・・・。なんか受け取り方がいくつもありそう。
ここから私の疑問いきます。
結局はルイスが元凶って線が強い感じかな?って結論にはなっているんです私の中で。
もともとルイスの中には人間として悪(負とも言える)の感情的なのが渦巻いていて、例えばそれが妊娠への強い執着心や電気への強い恐怖心など。あるいは悪魔が取り憑いていたか。
それを物質化したのが赤ちゃん。ルイスの卵子だし。赤ちゃんの目が黒くなる描写をあえて映したってことはやっぱり何かが赤ちゃんに入っていると思いますよね。
ただね、ルイスの中の人の心に渦巻く悪的な何かを表現したかった・・と仮定するなら尚更気になるのが水を怖がる描写と謎の男性なんですよね〜
エレナのバスタブシーンで彼女は過度に水に反応してたけど、それは生まれた赤ちゃんも反応した。このことから赤ちゃんの感覚がエレナを覆ってたって感じだけど・・(赤ちゃんの感覚がって言ったのは、もともとエレナは水に敏感じゃなかったから、赤ちゃんからエレナに影響を及ぼしてたと私は思ってる)
なぜ水?ルイスは水には反応していなかったはず。
そしてエレナが蘇生されているシーンで頭の中で現れる黒い服着た男性。ルイスの中の悪を表現したと仮定するとこの男の存在が謎!w
こういう伏線ちっくなことを置かれると “この先答えが待っているのでは?” と期待するじゃないですか。でもそれ回収できないわけよ・・(私が回収できなかっただけかもだけど)
ルイスが電気に敏感なのも気になる。現代科学が嫌いなのか?でもそれなら代理出産選択したり病院なんて行かないよね、と。
“悪が伝染” だけならまだわかるのだけど、こういった水の描写だったり謎の男の存在だったり、回収できない要素が多くて故に混乱した作品でした!
はっきりしない〜
そんな感じで感想は終わります。
まぁ好きな人はこれめっちゃ好きだろうな〜。そんな映画でした。
ちなみに、キャストについて余談ですが、レオ役はビョルン・アンドレセン。この表情にピーンときたいるはず。そう!ミッドサマーで崖上から飛び降りたおじいちゃん・・