ヤクザ映画「すばらしき世界」を鑑賞しました。
こういう映画って殴り合いや罵り合いのシーンばかりなのかな・・って思ったら全然違いましたね。
社会と刑期を終えた元ヤクザを描いた内容で、あまりヤクザ映画に慣れていない私でもスっと観入ることができました。
だからといってすっごい良い作品!って感想にはならなくて、映画とは別の現実社会の息苦しさとかそう言ったことに視点が飛んでいってしまったよ・・私は。
ネタバレありの感想をお話ししますね。
すばらしき世界の概要・あらすじ
概要
監督 | 西川美和 |
製作国 | 日本 |
製作年 | 2021年 |
原題 | すばらしき世界 |
上映時間 | 126分 |
ジャンル | ヒューマン |
キャスト | 役所広司、仲野太賀、六角精児、白竜、キムラ緑子、北村有起哉、安田成美、長澤まさみ、梶芽衣子、橋爪功 など |
あらすじ
下町で暮らす短気な性格の三上(役所広司)は、強面の外見とは裏腹に、困っている人を放っておけない優しい一面も持っていた。過去に殺人を犯し、人生のほとんどを刑務所の中で過ごしてきた彼は、何とかまっとうに生きようともがき苦しむ。そんな三上に目をつけた、テレビマンの津乃田(仲野太賀)とプロデューサーの吉澤(長澤まさみ)は、彼に取り入って彼をネタにしようと考えていた。https://www.cinematoday.jp/
原案は佐木隆三の身分帳です。
感想|映画すばらしき世界を観て世界の息苦しさを知る
私はこういう映画、見慣れていないのですがヤクザ映画にありがちの展開だそうなんです。
生活保護が受けれなかったり、働き口が見つからなかったり、元ヤクザが社会に馴染めずに苦労するっていう話。
そういえばこの映画が公開中の時期、ヤクザと家族っていう別のヤクザ映画もありましたけどそれも近しい内容だった。とにかく生きずらそうだった。
私はこの内容に慣れていないので「あ・・・そうなんだ」っていう驚きと、知らない世界を見たって感じで新鮮味がありました。
そして元ヤクザで口調もおっかない、ぶっきらぼうでキレっぽい。でも一途で真面目。
なんか、真っ直ぐな主人公・・こんな性格で且つ人生の半分を刑務所で過ごしそして元ヤクザ。
生きやすい訳が無い。時代も変わるしね・・・それがすっごい顕著に映像に出てて、観てるこっちは可哀想じゃんこの人・・って思わずにはいられない。
そしてこの演技をあの役所広司が演じているって、圧巻。いろんなサイトでも彼の演技が絶賛されてましたけど、私も完全に同意。
「あ・・なんだろうこの安心感・・。」
そんなこと思いながら熱演をガン見できたわけですが、演技力の凄さと「生きづらそうだなな」くらいしか伝わってこなかったな。それ以上の深みや捻りは、私は感じませんでした。
そしてタイトルについて。
ちょっと映画の内容とずれるかもですが、話させてください。
タイトルと内容が一致しなかったんですよね・・・私の理解が追いついていないだけ?
ありふれた日常こそが大切・・ってこと?私はそんなこと思わないんですけど。
今の世界がすばらしき世界って前提で話を進めると(違うかもだけど)しっくりこない。
だってこの日常こそがそもそも狂ってるじゃないですか。(正確にいうと私がそういう目線で見ているから、なのかもですが)
常識だって、ルールだって、誰が何のために決めたんだっていうの、多くないですか?時代は変わったというのに、昔からあるものだから、昔からの常識だからって何の疑問も抱かずに馴染んでいることってありませんか?
息苦しさしかない日常だってたくさん蔓延っている。(あ、だからといって不貞腐れて落ちぶれた生活しているわけじゃないですよ!w)
なにもヤクザだから、とか以前に一般人でも全然息苦しくて、この世界は素晴らしいとか日常は素晴らしいとか素で思ったことは一度もありません。
幸せな日常もあるんでしょうけど現実はすばらしい世界ではない。そう思う私はタイトルと内容をうまくリンクさせることができませんでした。
そしてラストの主人公の死。
映画の中では死因は明かされていませんが、血圧の薬を服用しているシーンがあったので、これ系。血圧の病気では?とネットに書かれてましたね。
これに関しては、ふむふむこういう結末で終わるのか〜辛いシーンをたくさん観せて、それでもいいことあるぜって感じで終わるのかと思ったので。ちょっと予想外でした。(御涙頂戴にしたかったのかなぁ・・。)
でもこの展開を持ってきたのはある意味映画として美しいのかも。
息苦しい社会から主人公もやっと解放されたわけですしね。
もしこれで主人公が懸命に生き社会に馴染んでいく結末だったら、それはそれでハッピーエンドでいいのだけど映画としてはまとまりすぎで、ひねりもなくイマイチって思ってたと思う。
(私、ひねりがある映画が好きなんで、これは完全に私の趣味の問題かもですがw)
まとめ
ということで。
こういうヤクザ映画なら私でも観れるなって思ったですが、でもなんか辛くなったな・・・
わかったよ・・・わかったから・・って何度も感じたし、やっぱり世界の息苦しさを再確認した映画って感じで終わりました。
作品自体はヤクザ映画として美しさがあります。
でもこの世界は素晴らしくはない。